↑ オリジナル仕様TOPへ戻る

床板

 家を建てるなら無垢の床を使いたいと思っている方は大勢いると思いますが、 どんな樹種の床板にしたいかと改めて聞かれると、木の種類や特徴など解らない方も多いのではないでしょうか。 ココラボで施工した事例と一緒に、いろいろな床板材ご紹介します。



■ ブナ…「春の家」

【分類】 広葉樹 ブナ科
【産地】 群馬県、栃木県、福島県
【気乾比重】 0.63
【特徴】 木肌は緻密で、強度がある。加工性は比較的良く、子供用の玩具に利用されることも多い。心材・辺材とも淡い黄白色〜淡褐色だが、樹によって色のばらつきがある。
【床板】 木目ははっきりと出ず、明るく優しい材色と相まって柔らかい印象の仕上がりになる。

→「春の家」建築事例へ


■ 水楢(ミズナラ)…「囲い庭のある家」

【分類】 広葉樹 ブナ科
【産地】 群馬県、栃木県、福島県
【気乾比重】 0.67
【特徴】 堅く重く強度があり、広葉樹の王者と呼ばれている。木目がはっきりと現れ、心材はくすんだ淡い褐色、辺材は淡い紅色を帯びた白色。
【床板】 傷が付きにくく、堅めで冷たい感触。部屋を落ち着きのある雰囲気にする。水にも強く、土足で使用することも可能。

→「囲い庭のある家」建築事例へ


■ 杉(スギ)…「青の家」

【分類】 針葉樹
【産地】 北海道を除く地域
【気乾比重】 0.38
【特徴】 軟らかく軽いので加工がしやすい。心材は淡い紅色〜濃い赤褐色、辺材は淡い黄色。特有の香気を放つ。
【床板】 さらりとして心地良い感触だが柔らかい為にキズが付きやすく、木目が浮かびやすい。 源平板と呼ばれる、赤身と白太が縞模様になった床板も使われるが、経年変化と共に色の差は分かり難くなる。

→「青の家」建築事例へ


■ 鬼グルミ(オニグルミ)…「ひとつの家」

【分類】 広葉樹 クルミ科
【産地】 福島県、岩手県
【気乾比重】 0.53
【特徴】 独特の光沢を持ち、軽軟で加工性がよく、割れや狂いが少ない。心材はくすんだ淡い褐色〜黄褐色、辺材は灰白色。
【床板】 広葉樹の中では若干柔らかく、優しく温かく感じる。一枚一枚の色の変化が大きく、全体の仕上がりは深みのあるものになる。床板としては珍しいが、ココラボ新事務所に使用している。

→「ひとつの家」建築事例へ

10年程前は、床板と言えばいわゆる合板のフローリングを使う事が多かったように思いますが、現在では木の家でなくても無垢の床板を使う方が多くなってきましたね。無垢材の関心が高くなって来た事はうれしい事ですが、無垢の床なら樹種は何でもいいとはいきません! 床板は、壁材や天井材と違い、直接人の体が触れる部分ですし、毎日の生活により過酷に使用される場所でもあります。また、家具やピアノなどの重量物を長期に渡り支えなくてはいけないし、1階の床板は床下に近い事から、湿気などによるカビやシロアリなども気になりますよね! これらを考えただけでも、肌触りや耐久性など、多方面からの検討が必要になってくる事がわかります。

そして、床板を選択すると言う事は、日々の暮らし方とも密接に関係してくると言う事を忘れてはいけません。床でゴロゴロと過ごしたい方には、やわらかく肌触りのやさしい床板をお勧めします。また、ソファーや椅子を中心とした生活の方には、椅子の足などでもキズが付きにくい、少し硬質な床板が良いと思います。そして、子育てに合った床板や、趣味の用途に合った床板など、様々な視点で床板選びをしていただきたいと思います。

一度家を建てれば、多くの方がその家で一生を過ごしていくと考えると、一時の心地よさや見た目の良さだけでなく、将来の暮らし方をも視野に入れて床板選びを行うことも大切だと思います。たくさんの樹種の床板に触れる機会は少ないと思いますが、お友達の家や見学会などに出かけた時は、是非、床板を意識してみてください。きっと自分達に合った床板が見つかると思いますよ。今回のページでは、『実りの家』の広間で使用した栗の床板の特徴を始め、ココラボで建築していただいたお宅の、自慢の床板をご紹介いたします。

■ 栗(クリ)…「実りの家」

【分類】 広葉樹 ブナ科
【産地】 福島県、岩手県
【気乾比重】 0.55
【特徴】 重くて堅くて粘りがあり、はっきりとしていて美しい木目に独特のツヤがある。心材は淡い褐色、辺材は淡白色。
【床板】 広葉樹でありながら手触りが柔らかで硬質感がなく、時間が経つと段々色が濃くなってきて一段と輝きが出てくる。栗の木にはタンニンが多く含まれるので、水に強く非常に腐れにくいという特性がある一方、水じみ(アク)が出やすいので、水周りに使用する際には注意が必要。

『実りの家』の広間・キッチン・玄関に、栗の床板を使用しました。栗特有のはっきりとした木目がとても綺麗で、硬質でありながらサラリとした木肌がとても心地よい床材です。栗の床板で仕上げた広間は、どっしりとして落ち着いた雰囲気の空間になりました。

打合せ当初、広間に使用する床板の選択に悩んでいたKさん。色合いや木目、硬さなどを慎重に確かめながら、最終的に栗の床板に決めました。栗の床は硬く冷たいのでは? と思っていましたが、出来上がってみると意外と硬質感を感じず、床にゴロっと寝転んでも気持ち良さそうです。

栗材は、電車の枕木に使われた程の耐久性の高い木材です。また、我々日本人にとっては、食材として、また用材として重宝され、太古の昔から関りあって来た木材です。そんな木材で作られた床板という事で、特別の思いも感じさせる家になったように思います。数年たって、この栗の床板がどのように味わいを増すか…今からとても楽しみです。

→「実りの家」建築事例へ

※気乾比重とは…

含水率15%の時の単位面積あたりの重さ。比重の重いものほど、強度・収縮率・熱伝導率が大きい。比重の大きいものは冬に触った時に堅く冷たく感じるが、比重の小さいものは温かみを感じる。

▲ページの先頭へ